top of page
検索
  • 執筆者の写真Matsuda Makiko

ふさわしさの文法


2018年12月の日本語文法学会で、標題の発表をします。

日本語学の博士課程で落ちこぼれだった自分が、日本語文法学会で発表するのは、とても怖いことです。ですが、日本語教育に関わる中で、複言語として日本語を使用する人たちとs交流を深める中で、自分なりにことばやコミュニケーションに対する気づきがありました。そのことを投げかけてみるのは意義あるかもしれません。例えば以下のようなことです。


純度100%の日本語というのはあるのか?

・・・ない

日本語は誰のものなのか?

・・・少なくとも「ネイティブ」だけのものではない

初級日本語学習者というのは劣った日本語使用者なのか

・・・・劣った使用者ではない。日本語使用に上下はない


「日本語的なコミュニケーションの集まり」というのはあっても、その集まりは人それぞれ。そしてそのコミュニケーションのありかたも、相手が変われば変わり、同じ相手でも状況や気分が変われば変わる。同じコミュニケーションと思っていても、相手の印象や受け止め方も様々。しかし、常に私たちはコミュニケーションに対して最善を尽くそうとするし、相手との快適なコミュニケーションを模索している。そういったことを「ふさわしさ」というなら、「日本語」はそのふさわしさを言語形式に反映させることが好きな言語であり、それが高度にルール化されています。この相手に言うなら、どういう言い方が適切か、たくさんのオプションの中から選びとって産出しています。

そして、そういうところが、日本語教育ではあまり重視されていません。そして、さらに、闇雲に日本語ネイティブに近づけようと教育しています。なので、日本語学習者が知っておくことが大事です。知った知識を使うかどうか、相手との関係を見ながら、自分自身で決められるようになることが大事だと思います。




閲覧数:165回0件のコメント

最新記事

すべて表示

《ブラジル》バイリンガル教育としてのコロニア日本語教育

2018年1月9日 http://www.nikkeyshimbun.jp/2018/180109-column.html 「日本語教育は幼稚園に投資すると効果が高い」――現在、当地で「南米日系社会における複言語話者の日本語使用特性の研究」を調査する金沢大学の松田真希子准教授は、そう結論付ける。  ピニャールやピラール・ド・スルなどの日本語学校で「かなり高度なバイリンガルが育っている」ことに驚き

《ブラジル》新しい研究プロジェクトに大いに期待

2017年8月29日 http://www.nikkeyshimbun.jp/2017/170829-column.html 週末に開催された「南米日本語教育シンポジウム2017」を取材して、いろいろ考えさせられた。特に「南米日系社会における複言語話者の日本語使用特性の研究」(H28―32科研費、代表=松田真希子・金沢大学)という大きなプロジェクトが始まっていると聞き、調査される側として実にありが

bottom of page